角田光代さんに届くまで!
仕事を辞め、カナダに来て、新しい家族ができて、
付き合う人も変われば、
世間との関わり方もがらりと変わってしまった。
はっきり言えば、選択の余地がなくなった。
自分がいる場所、付き合う人、それは必然のものとなった。
選べない毎日、選べない友達。
社会に必要とされているのか、自分の存在意義や居場所が
あるのかすら見失うときがある。
人付き合いが苦手に思えるのに、人とのつながりに固執してしまう。
やや現実逃避の意味合いを帯びつつ、読書にはまっている。
でも、カナダで手に入る日本語の本は数が知れている。
だから、同じ本を読み返すということも多々ある。
去年、ふと読み返してみた「対岸の彼女」で、
一気に角田光代さんブーム到来。
「対岸の彼女」や「森に眠る魚」はまさに今の私の境遇に
通じるものがあるし、
「私の中の彼女」を読んでみれば、
何か自分にもできそうな、
なんなら小説でも書けそうな気分になってくる。
角田さんも著書「さがしもの」の中で言っていたように、
まさに自分の境遇が変わったから、本が与えてくれる
意味合いも変わったのだろう。
角田さんの作品は世間では人間の闇に焦点を当て過ぎと
言われることも多いようだが、今の私にとっては
勇気をくれる本たちでしかない。
私の勝手な解釈では、角田さんの著書には共通して、
「どんな人でも、どんな状況でも、日常は続く。
今の目の前を丁寧に生きていくしかない」
ということが描かれているように思う。
「考えるより、生きろ」と教えられる。
ブログは数日前に始めたばかり。
いつの日か角田光代さんのように、
どんな日常の中にも強いメッセージ性をもった
文章を書けるようになりたい。
ここでそれができたら、社会の中に生きる自分を
つかめる気がしている。