訳本が楽しめない
カナダ生まれの息子たちに、毎日、日本語の本の読み聞かせをしている。
カナダで手に入る日本語の本には限りがある。
選択の余地などなく、とりあえず何でもいいから図書館で手当たり次第に借りまくる。
子どもが大きくなってきて、先日、私が常々思っていたことをついに言われてしまった。
「ママ、外国の人が書いた本が日本語になってる(訳されている)やつって、あんまりおもしろくない」
...同感。
私も訳本は感覚的に合うものが少なく、あまり好きではない。
もし私が今日本にいたら、子どもに本を読む時に、訳本の類は極力手にしなかったと思う。
感性の違いなのだろうが、日本人的に、ストーリーが「?」のものが多い。
「この本、結局何が言いたかったんだろう」とか、
「この場面でこういうセリフって、日本人ではないよなぁ」とか、
「え?ここ、もしかして笑うところ?」みたいな...
逆(英語→日本語訳の本)もそう。
日本でも知名度のある、『Diary of a Winpy kid』シリーズJeff Kinney著や
これまたこちらで大人気のシリーズもの『Big NATE』Lincoln Peirce著。
小学校低~中学年がこぞって読みあい、図書館はどこも品薄状態。
独特のテンポや言い回しが小気味よいのだが、そんなテンポも言い回しも、日本語に訳しちゃったら、
伝わらないだろうなと思うものが多い。
さらには笑いのツボが違うから、日本で爆発的な人気がでるってことは、残念ながら、なさそう。
『Big NATE』Lincoln Peirce著
毎回、「ママ、ここ読んで!面白いから!」と、爆笑場面を律儀に報告してくれる息子。
母は、「うーん、どこが面白いのかな???」と思いつつ、
「ほんとだ!おもしろいね~」と適当に相槌を打っている。
例えば、昨日息子が爆笑していた場面は、
Nate:「お父さんがターキー料理ばっかり作るから、もうダメ。ターキーは、お父さんのせいでもう一生食べられないよ。」
友人:「分かるよ。ボクもGummi bears(熊型のグミ)を食べ過ぎて、吐いたことあるよ。1個は鼻から出てきたしね」
ーーー『big NATE FROM THE TOP』p.102-103
私にとっては、日本の物語の方がずっと笑えるのだが、息子たちに読んで聞かせると、
「??え?あぁ、そういう意味!」っていうことが、ある。
もちろん、うちの子はカナダで生まれ育っているとはいえ、日本文化に対する知識が多少なりともあるので、
阿吽の呼吸で分かるものも多いが、それがなければ、まったく理解できないものも多いに違いない。
私は語学にも感性にも壁があるので、原本も楽しめず、訳本が理解できず、
もっぱら日本の本ばかりを読んでいるが、
2か国語、2か国文化で育っている息子たちは、より多くのものをありのままの形で楽しめる気がして、
羨ましいなと思う。
そうなれるように、日本語や日本文化を彼らの中に残していく努力が私には求められるのだけれど。