カナダの教育現場から② ~特別な自分という考え方~
ぼちぼちではあるが、日本語の勉強を続けている長男(9才)。
ぼちぼち取り組んでいるワークブックの中に、
「金メダルをあげたい人と、その理由を書きなさい」
という作文のお題があった。
ちなみに例文が載っていて、 父親を題材とした作文だった。
息子、「ママ、書き終わるまで見ないで~!」と言う。
私、「分かったよ~♬」と言い、キッチンへ行く。
私、内心ワクワクを隠せない。
「あぁそうだ、今日のお弁当おいしかったぁ~?」などと、
要らぬアピールと、作文のネタになりそうな事を口にしてみたりする。
息子、「ママ、書けたよー!」と言う。
私、「分かったよ~、今見てあげるよ~♡」と言う。
息子、「すごく上手に書けたよ!じゃじゃーん!!!」
……......
ぶっちぎりの褒めちぎり。自分LOVE。
自分が得意なこと、頑張っていることを熱心に書き綴っていた。
(ちょっと恥ずかしすぎて、全文の写真掲載は見送りました...)
母、一瞬のがっかり時間を通り越すと、羨ましさと嬉しさがやってきた。
「自分を好き」って素敵。自分の良さが言えるってすごい。
年齢もあるのだろうが、これもカナダの教育のおかげかなと思った。
息子の友達が、同じ題名の作文を書くように言われたら、なんて書くだろうと想像してみたら、
やっぱり自分のことを書く子が多いんじゃないかと思い当たったからだ。
昨日の投稿で言及したRespectに加え、カナダの学校では、
自分に自信(Self-confidence)を持つことの大切さを教えられる。
そのためには、自分の良さを見つけることが必要。
子どもたちの良いところを見つけ、声に出して提示し、きちんと評価する。
学校が掲げる、RespectとSelf-confidenceって、つながっているのかもしれない。
個々の良さを強調する環境にいるからか、子どもたちはしょっちゅうこんな会話をしている。
「〇〇くん、すごく走るのが早いから、オリンピック選手になれるよ!」
「ボクは読むのが上手だけど、〇〇くんは書くのがすごく上手!」
「〇〇ちゃんは、小さい子の面倒を見るのが先生よりうまいね!」
「ボクはおにごっこが得意だけど、〇〇くんはかくれんぼが上手なんだよ」
人のことも褒めるし、自分も人から褒められる。
(ちなみに、自分自身を褒めることも怠らない。)
こういう日々の中で、個々を尊重し、自分にも自信をつけていっている気がする。
子どもたちは日々の生活の中で、こうやって「特別な自分」を発見していく。
今日の1冊。
『げんきをだしてウィリアム』ヒッテ・スペー作
悲しい夢を見て目覚めた、くまの子ウィリアム。
皆は、何でも上手にできるのに、自分は何もできない。
太っていてのろまだし、自分には何も良いところがないと思う。
閉じこもってしまったウィリアムを捜しあてた、ウサギの友だち、バートとベッチー。
ウィリアムの良さをたくさん知っている2匹は、何か得意なものを見つけて、ウィリアムに自信を持たせようと奮闘する。
友だちの協力のもと、ウィリアムは、何かを見つけ出し、自分に自信を持つことができるのか?
この本も、友だちと一緒に自分探しをし、自分に対する自信をつかむというもの。
大人になったら、壁にぶつかることも、自信をなくすこともあるだろう。
それでも子どもの頃に見つけた自分の良さや、誰かが見つけてくれた、自分の中にある何かを思い出して、少しは前向きな気持ちになれるのかもしれない。
その時に出会う友達の言葉で、もう一度自信を取り戻すこともあるだろうし、逆に自分が友達の良さを見つけて、救ってあげることもあるだろう。
今、子どもたちが身を置いている、自分と他人を尊重する環境というのは、将来を築く道になるはず。
大人になって、自分を好きだと言える難しさと素晴らしさを嫌というほど知っている、私。
つい、子どもの良さより、悪事に目が行ってしまって、イライラしてしまうことが多いけれど、
子どもがずっと自分を好きでいられるよう、
特別な自分をより発見できる環境であるよう、
親としてサポートする大切さを学ぶ日々。