絵を学ぶ場所
小学校3年生の時、母の日を前に、学校で、
「お母さんの絵を描く」
という時間があった。
絵の具がにじんでしまって、
取り返しのつかない絵を前に、がっかりしていた私。
そこに、
「なんか、タマネギみたいな絵だなっ!」
と、隣の男の子。
母に申し訳なく、泣きながら家に帰った思い出がある。
そう、私は、絵を描くのが、苦手。
見るのは大好きで、私にとって、絵の上手な人は、尊敬と憧れの対象なのだ。
4歳から、カナダの幼稚園に通い始めた息子。
図工の時間はあるけれど、指導はほとんどなく、子ども任せだ。
中には、「色塗りは、したくないからしない」という子だっている。
我が息子とて、何を作ったのか、聞かなければ、分からないような作品を持ち帰ってくることもしばしば。
というか、作品なんて、年に片手で数えられる程度しか作らない。
もともと何かを作ったり、描いたりが、すごく好きだった息子。
この習慣を潰してはいけないと、ちょっと気負っていた私。
学校でやらないなら、家でやるしかない?
図画工作の苦手な私が?
美術教室に通わせるか?
自分のコンプレックスもあって、けっこう焦っていた気がする。
そんなある日、息子が、絵を描いていた。
黄色の太陽が燦燦と降り注ぐ中、友だちと遊んでいる絵だった。
私:「あれ?太陽って、赤じゃないんだね?」
子:「え~、太陽は黄色かオレンジ色だよ!」
え?この前までは、赤で描いてたよね?
過去に書いた息子の絵を調べてみたら、それまでは、
確かにどれも赤だった。
カナダの幼稚園に入園前、息子はしばらく、日本の幼稚園に
体験入園していた。
カナダの学校に入ってから、変わった?
太陽=赤って、もしかして日本スタイルなの?
気になって調べてみたら、
日本の子どもたちは太陽を赤で描くことが多く、
カナダの子どもたちは太陽を黄色やオレンジ色で
描くことが多いらしい。 onsuku.jp
へぇぇ、文化によって、絵って違うのか?
それを息子は、その場、その場で、吸収していたんだなぁ。
他にもどんな違いがあるのか、興味津々で調べてみると、
いろいろと分かった。
たとえば、先週、描いていた、子どもの絵から。
タイトル:気温が上がり、溶けていく雪だるま
(哀愁ただよう絵だな!(笑))
そう、カナダの子は、雪だるまを3段に描く。
英語で雪だるまは、Snowmanと呼ばれ、3段式、背がすらっと高い。
上段が顔、中段が胴体、下段が足らしい。
まさに、雪の人っていうイメージなのかな?
日本の雪だるまは2段。
雪だるまの起源は、定かではないものの、
江戸時代後期には存在していたらしい。
江戸時代の浮世絵師・歌川広景の作品『江戸名所道戯尽 廿二御蔵前の雪』に、
だるまの形をした雪だるまが、供え物と共に描かれていることから、
当時は縁起物として作られていたのでは、という説があるそう。
なるほど、だるまから、雪だるま!
知らんかった。。。
子どもは子どもの世界で、どう描くか、どう表現するかを、
自らの感覚で学んでいたのだ。
そうか、私が自分のコンプレックスを引き合いに、
心配する必要なんて、なかったんだ。
芸術に答えはないし、可能性も無限だ。
まさに、芸術は爆発だ!
学校、友達、家庭、本、テレビ......あらゆるところから、
これからも吸収し、彼らなりに表現していくんだろう。
息子たちが、どんなアーティストに成長していくのか、
見る楽しみが、また増えた。