イチロー選手の引退会見から考える ~ポジティブ返しを学びたい~
少し前の話題にはなるが、私もイチロー選手の引退に涙した一人。
彼を通して、たくさんの夢を見させてもらったし、彼の生き方や言動が励みになったことも数知れない。
これからの人生、次は、どんなことをしてくれるのだろうかとワクワクもする。
そんな折に読んだ、NY在住のジャーナリスト・阿部かすみさんが書いた記事。
引退会見の、
「「引退、おめでとうございます」という言い方は、失礼ではないか」
という意見があること。
それにしても、何にでも批判って出てくるんですね…
それに対し、阿部さんは、
「引退に対してではなく、新しい人生のスタートに対して、おめでとうございますと言ったのであろう」
ととらえ、
「なかなかアメリカ的なマインドを持った」発言としている。
たしかに英語で、こういう発言は、ある。
一言付け加えさせてもらえれば、私が思うに、この場合、
イチロー選手の努力や偉業、それから引退(ある種の卒業)そのものに対して、「おめでとう」という意味合い
もあるのではないかということ。
例えば、「卒業おめでとう」「合格おめでとう」など、
努力したこと、成し遂げたこと、その過程を終了したこと、素晴らしい成績を残したこと等々に対して、
「おめでとう」という言い方をするのは、日本も同じ。
それが引退に対しても、使えるのではないか。
こう考えると、言語や文化の違いもぐんと縮まるし、理解もしやすい気がする。
ましてや、イチロー選手の努力や偉業を思えば、この
「おめでとうございます」という発言は、本当に場にふさわしいもの
だったとも思う。
先日、息子の友達の親が離婚した。
息子を介して、付き合いのあるママ友で、たまに世間話をする仲だ。
新居探しやら、今住んでいる家の売却やら、子ども達の世話の仕方をめぐっての話し合いなど、いろいろと忙しいらしい。
私は英語で、「え!...残念だわ。大変ね。何か手伝えることがあったら、いつでも声をかけてね」と言ったのだが、思いっきりダメ出しが来た。
「いやいや、そんなつもりで言ったんじゃないのよ!馴れ合いで夫婦やっていても仕方がないし、今すごくすっきりしてるの。本当に良かったわ。それより、なんかいい物件の話があったら連絡して!」と。
私はなんと言ったらいいのか分からず、相槌を打ちながら、ただ聞いていたのだが、後で思った。
たしかに、そこまで親しい間柄で、詳しい状況を知らない限り、第一声が「おめでとう」は、ふさわしくない。
しかし、話の過程で、「そうなのね、それは良かった!あなたの次のステップがうまくいくことを祈ってるわ」的なポジティブ返答が、必要だったんじゃないかと。
例えば、週明け。
ママ友たちに、「どんな週末だった?どこかでかけた?」などと、聞かれる。
どこにも行かなかった私が、「どこにもいかなった。家でゴロゴロしてた」と言う。
日本人だったら、どう思うかな?
気にしない?
聞かなきゃよかった?
「そうなんだ。あ、そういえば...」と話を変えるパターン?
でも、カナダでよくある反応は、
「うらやましい!家で読書って、理想の週末よ!!」
「家でゆっくりなんて、リフレッシュできてよかったわね!」
「あら、最高じゃない!私も家にいたかったわ。でも、前から決めてた予定があって、でかけたけど」
家にいたことがまるで良かったかのような言い方をされる。
どこにも行かなかった私は、会話にちょっと引け目を感じている。
子どもをどこにも連れて行かなかった罪悪感。
きっと彼女は素敵な週末を送ったのであろうし。
でも、こういうポジティブ返しがあると、なんだかちょっとダラダラした週末もそれなりに意味があったような気がしてくる。
会話のポジティブ返し、英語力はなくとも、これはマスターしたいもののひとつ。
たまたま今日、息子が図書館から借りてきた本。
ここにもイチロー選手の話が。
引用元:Keltie Thomas著 ❝How Baseball Works❞ Maple Tree Press
(肖像権の問題とかあるのかな?と思い、写真掲載は見送りました。著作権とか、肖像権って、なかなか理解できません…...)
選手としては引退しても、彼の偉業や思想は、生き続ける。
イチロー選手の引退、どうしても、
「寂しい、彼のプレイをもっと見ていたい」という思いがぬぐえず、めそめそしていたのだが、
今回、この記事を読むことによって、本当の意味で、イチロー選手の引退と門出を祝うことができた。
ポジティブ返しの持つ力って、スゴイ!