どう読む?『よわむしカエル』
親の教え方も問われるけれど、子どもの感性の違いも分かる、本。
私の子ども向けイチオシ本です!
2013年文芸社出版文化振興基金事務局主催「第4回えほん大賞」大賞受賞作品
カナダの図書館にあって、読んであげたのが2年前。
餌(生き物)が捕れず、泳ぎも下手なやせっぽっちの一匹のカエル。
皆からは、「よわむしカエル」とバカにされています。
冬眠の時期をひかえ、カエルは食べ物を探しにいきますが、やはり生き物を捕ることができません。
そんな折、出会った一匹のヘビ。
カエルの「自分が生きるために生き物を捕る=誰かのの命を奪うこと」ができないという話を聞き、
これまで容赦なく生き物をとってきた自らの生き方を反省します。
二匹は殺生せずに命をつなごうとしますが、うまくいきません。
ヘビとの対話の中で、カエルは季節がめぐり、やがて命がつながれていくことを知ります。
そしてカエルはヘビに、「自分を食べて、ヘビの命をつないでいってほしい」と懇願します。
ヘビは「命の大切さを教えてくれたカエルを食べるなんてできない」と固辞しますが、
カエルは、「ここで二匹とも死ぬより、ヘビが命をつないでいくことに意味があること」、
「自らがその糧となり、ヘビの中で生き続けていくこと」を提案します。
カエルはヘビの口の中に入り、ヘビはそれを飲み込みます。
ヘビは自らの中にカエルの命を感じ、冬眠に入ります。
2年前、これを読んだとき、次男(当時5歳)、号泣。
「カエルもヘビもかわいそう...」と。
つられて私もウルウルしていましたが、そこに長男(当時7歳)の一言。
「え?なんで泣いてるの?すっごいいい本!!
ヘビがカエルの分まで生きられて、よかったぁ!」
… なるほど。
顔は似てるが、しっかり違った感性に育っていたらしい。
何が正解、不正解ではなく、いろんな読み方、感じ方ができる本です。
それぞれの命が平等に尊いものであること。
命をつないでいくことの意義。
命をつないでいくことが、時に他の命の搾取とならざるを得ないこと。
自分を取りまく仲間や環境への思いやり…...
この1冊から、いろいろなメッセージを受け取り、いろいろなことを考えさせられると思います。
「カエルくんはよわむしじゃない。だれよりも......」---p.22
これは、冬眠前のヘビの一言です。
このヘビの言葉、最後の「......」部分、ヘビは、何と言いたかったのか、
この本を読んだ子ども、そして親として、ヘビとカエルの生き方をどうとらえるか、
とてもよい話し合いの機会が得られます。
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↓ 親子で考えたい本として、今まで紹介したブログ記事から...