時に騙されて
好きな作家の本は、無条件に手に取る。
あらすじを読んだり、レビューを参考にしたり、しない。
作家名だけで選ぶ。
湊かなえさんの『山女日記』との出会いもそんな感じだった。
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さてさて、今回は、どんな奇怪な事件が待ち受けているのかな。
ドキドキしながら読み進め、しかし、それが一向に訪れず、でも一気に読み終えてしまった。
本当に、見事に、まるで何も起こらなかった(笑)
どうした、湊かなえ?
著者名、2度見しちゃったよ。
簡単に紹介すると、様々な年齢、職業、事情を抱える女性が、山を目指し、大いなるものに包まれながら、何かを悟っていくというようなストーリー。
人間だもの、個々に様々な事情を抱えてはいるものの、その事情たるや、ありふれたものばかり。
淡々と過ぎゆく日常の舞台が山にあったら...ただ、それだけのこと。
大学生の時から山に登り始め、結婚・出産・作家デビューを経て山から遠ざかり「また山に登りたい」と願っていた著者が、山の小説を書くなら色々な山に連れて行くという出版社の編集者からの提案を受けて、12年ぶりに登山を再開。いくつかの出版社の編集者とともに各地の山に登って取材し、その体験をもとに本作を執筆した。
引用:ウィキペディア『山女日記』より
なるほど、「小説を書かせたい出版社」と、
「やりたいことがやれるっていう、湊さんの私欲」と、
利害が一致したというわけか。
趣味を仕事にって、一番羨ましいパターン。
これから登山を始める人がここに登ってみたい、私でも登れそうと感じられるような、山に親しめるような作品として構想された。著者の登山の経験のもと、さまざまな思いや悩みを抱えて山を登る女性たちの複雑な心理が山々の風景とともにリアリティ豊かに描写され、新たなスタイルの山岳小説となっている。
引用:ウィキペディア『山女日記』より
まさに、それ!
湊かなえ作品ならではの、イヤミスは一切なし。でも、一気に読めたのは、読み進めるうち、なぜだか猛烈に、「私も山に登ってみたい!」って思えたから。
小さい頃から、登山は大の苦手なのに。
私も登ってみたい。私も何かを悟りたいと思っちゃって(笑)
湊さんの思惑に、まんまとはまったというわけだ。
春は日本の桜、秋はカナダの紅葉に勝るものなし。
紅葉狩りをかねて先週目指したのは、近くのなだらかな山。
季節柄、虫もおらず、暖かい日で、最高に気持ちよかった!
まだ緑多し。全部色づくと、息をのむほどの絶景に。
キツツキのしわざ。
それにしても、今年はキツツキが異常に多い。
何だろう?今年はアゲハ蝶も多かったし。
これは、昨日うちの近所にいたキツツキ。
一心不乱につつきまくってた。
関係ないけど、この方にも近所で遭遇。
うちの子が、捕獲を試みたけど、見事にお逃げに。
話しはそれたけど...
本に登場する女性たちのように、何かを悟れはしなかったけど、心底癒された~。
湊かなえならではの、イヤミスを期待して手にした、『山女日記』。
あらすじやレビューを先に読んでいたら、絶対に手に取ることはなかったであろう、1冊。
それが、湊さんの思惑に、まんまとはまって...
いつの日か、ロッキー山脈、目指しちゃう?!と夢見るくらい、気持ちの晴れた、ひと時。
改めて、すごい作家さんだなぁと思うと同時に、とりあえず覗いてみたら、広がる世界ってあるよねと思った日。
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