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まれにいいこと

小さないいこと探しながら、今日もなんとか暮らしています。

今週の読書 『奴隷小説』桐野夏生著

   f:id:Yotoro:20190118004037j:plain 『奴隷小説』 桐野夏生著 

先週読んだ、桐野夏生作『猿の見る夢』が面白かったので、

もう1冊桐野さんに挑戦。 

yotoro.hatenablog.com

 

誰も幸せにならない短編集。

拉致、監禁、収容所、束縛された村社会、閉ざされた劣悪な労働環境、

のがれられない精神的苦痛...

まさに奴隷、のがれられない環境や精神状態に身をおいている、何かしらに囚われている人たちの物語。

 

娘の自死にとらわれる母親の話「REAL」や

アイドル志望の女の子とそれをとりまく追っかけのとらわれた

精神環境を描写した「神様男」。

そういう、精神的にとらわれている人の話は、小説としてとても分かりやすい題材。

でもこの本、いわゆる身も心も囚われの、奴隷状態の物語が中心で、

まさに異色の1冊。

 

誰も幸せにならない物語。

桐野さん、どうしてこの本を書こうと思ったの?

嫌な気分になるけれど、確実に存在するであろう、こういう世界。

自分はいかに幸せか思い知る。

と同時に、私も何かにとらわれているのかなと確認したくなる。