子どもを読書へいざなう、読み聞かせの時間帯と❝自分空間❞への憧れ
子ども、特に読書に興味のない子どもを読書にいざなうというのは、大変なことです。
座らない。
遊びたい。
お腹がすいた。
違う話をはじめる。
何かに気を削がれてしまって、なかなか集中できない......
我が家も、次男の読書習慣を作るのには、苦労しました。
生まれた時から、兄という遊び相手とたくさんのおもちゃに囲まれていたこと。
兄の影響で、テレビやゲームの存在を早々に知ってしまったこと。
それから、2人の子育てで忙しくなった私が、兄の時ほど熱心に向き合っていなかった?という反省も…...
まずは、読み聞かせの時間帯から見直しました。
遊ぶ時間でも、食べる時間でもない、
本を聞く以外に選択肢のない状況=就寝前のベッドの中
を次男との読書の時間、と決めました。
次に、本の題材を見直しました。
「これを聞かせたい」と親(私)が思うもの=子どもが聞きたいもの、とは限りません。
「まずは、子どもが読みたいもの」を考えてみよう。
それまでは、私の主観で選んでいた本を、子どもの目線から選ぼうと思ったわけです。
(とは言え、ここはカナダ。贅沢に選べるほど、日本語の本があるわけではないのですが......)
子どもが読みたがる題材、色々あるとは思いますが、今日、私がおすすめするのは、
子どもの「自分の空間」への憧れを喚起する本
です。
着ているもの、使っている物、おもちゃ、ご飯の好き嫌い......
子どものことを、親は、ある程度把握しています。
だから、子どもは「自分の空間」に憧れる。
一人部屋、秘密基地、屋根裏部屋、ツリーハウス、かまくら、宝箱、鍵付きの日記帳、鍵付きの引き出し......
自分の空間には、子どもの日常には珍しい、自分だけの創造と秘密、そんなワクワクがひそんでいます。
息子たちが幼稚園児の頃、日本に一時帰省した際、実家の庭に「秘密基地」なるものを作り出し、
ガラクタをせっせと集めて何かを作ったり、ため込んだりしている姿を見て、思い出したのです。
そういえば私も、幼少期、山間部に住んでいたことがあり、友達と一緒に日が暮れるまで秘密基地を作って、タイムカプセルやお菓子の付録なんかを隠したっけ。
鍵付きの日記帳や鍵付きの引き出しには宝物を入れて、毎晩のぞいていたし、一人部屋をもらった時は、しょっちゅう模様替えをして楽しんだ。
そんなことを思い出したのです。
子どもにとって、自分の空間は、自分の創作と秘密であふれる、憧れの場所。
「こんな空間が作れたら、楽しそうだな!」
そういう本なら、きっと、興味津々で聞いてくれる(願わくば、自分で読んでくれる)に違いない。
そういう題材を扱った本はたくさんありますが、今日は次の2冊をご紹介します。
1冊目は......
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『10ぴきのかえるのふゆごもり』 間所ひさこ作
仲良し10匹のカエルたちは、初めての冬を前に、毎日遊んでばかり。
どじょうじいさんに教わり、冬ごもりの支度を始めます。
でも、冬の間、ずっと眠って過ごすなんて嫌!
地面の下に、素敵な冬ごもりハウスを作って、楽しく遊んで暮らそうと画策、素敵な家づくりを始めますが......
地面の下に出来上がった、素敵な冬ごもりハウスが子どもたちに大ウケ間違いなし!
特にカエルたちが、ガラクタを集めてきて、楽しそうな遊び場付きの素敵な家を作った、というところが、ワクワクポイントです。
2冊目は......
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『ティモシーとサラときのおうち』芭蕉みどり作
ふたごのこねずみティモシーとサラ、友達のスーザンは、リックを手伝い、木の家を作ることに。
がらくたを集めたり、木を切ったり、素敵な木の家が完成します。
ある日、見晴らし台から見えた家のおばあさんねずみ、フローラさんを訪ねることに。
フローラさんとすっかり仲良くなったこねずみたち、今度は自分たちの木の家にフローラさんを招待することになり......
これまた、がらくたを集めて、素敵な自分空間を作ってしまうところが子どもの創作意欲を喚起します。
また、フローラさんを招待したこねずみが、この木の家について、フローラさんと約束を交わします。
「でも、だれにもいっちゃだめだよ」
「とくに、おとなには」
「わかったわ!わたしたちだけのひみつね」ーーーp.29引用
そして、フローラさんと指切りをするシーン。子どものワクワクポイントです!