久々に最後まで読ませてくれた!『ドングリ山のやまんばあさん』
絵より字が圧倒的に多い本。
なかなか最後まで読ませてもらえません。
途中で飽きてしまったり、横から手を出してきて、絵がついているページを無理やりめくってきたり...
『ドングリ山のやまんばあさん』富安陽子作
久しぶりに最後まで読ませてくれました。
勝因は、
① 恐ろしく描かれていることの多い「やまんば」が
陽気なおばあさんの形で描かれていること
② やまんばあさんがものすごく強くて、軽快で、子どもが
好きなスーパーヒーロー的な描かれ方をしていること
でしょうか。
296歳のやまんばあさんが主人公です。
ドングリ山で動物たちと元気に逞しく、そして楽しく暮らしています。
動物たちとの生活の他に、この本では、恐れられていた人間の村を
覗きに行き、最後にやっと友達を作る話が描かれています。
こどもにとっては、強くて面白い、やまんばのお話だと思います。
さてここで、大人の視点でみると、ですが、
直接的には書いていないのだけれど、
ゆかいなやまんばあさんがこっそり隠し持っている心の孤独が
描かれているような気がして切なくなりました。
冬の厳しい描写の中(もちろんどんな状況下でも逞しいやまんばあさんにとって、
厳しい冬なんて大したことないのですが)、
最後はこんな文で結ばれています。
だけど、ちゃんと、春は近づいてくる。
だって、二百九十六年間、春のやって来なかった冬は、一度もなかったからね。ーーーp.146-147
今日のカナダは大雪&極寒です。
私も「必ず春は来る」と思って、この冬を乗り切ろうと思います!